Q1.花粉症って?
A1.近年、花粉症の患者数は年々急増し、今や全国で2,000万人と推定されています。原因となる花粉としては、春 先に飛ぶスギ花粉が最も多く、全体の約80%を占めているといわれています。 花粉症の正体は、花粉に対して人間の体が起こすアレルギー反応です。体の免 疫反応が、花粉に過剰に反応して花粉症の症状がでるのです。
花粉症はアレルギー疾患なので、早期に完全に治すことは難しく、日常生活に大きな支障をきたします。しかし、花粉を回避しながら薬剤を上手に用いて治療を行えば、花粉症をコントロールすることが期待できます。
Q2.花粉症の原因となる花粉は?
A2.原因となる植物によって、花粉の飛散時期は異なります。
一 般的なスギ花粉は2月上旬から開花し花粉が飛び始めますが、イネ科は初夏から、キク科は秋頃から飛び始めますので、ほぼ一年中花粉症は起こる可能性はあり ます。花粉症の原因となる植物は約60種類といわれますが、風によって花粉が運ばれるという共通点があります。日本は南北に細長く、土地によって花粉症の 原因植物は異なり、花粉の飛散時期が異なります。また同じ植物でも北と南の地方では飛散時期が異なります。
<花粉症の原因になる代表的な樹木>
春 : スギ、ハンノキ、ヒノキ、シラカンバ (背の高い樹木が多く、山林などに多く見られます)
春~夏 : カモガヤ、スズメノカタビラ、ハルガヤ (高さが50cm位の草で、空地や道ばたなど、身近に多く見られます)
夏~秋 : ブタクサ、ヨモギ、カナムグラ (高さ1m位で、河川敷や道ばたに多く見られます。)
Q3.どうして花粉症の症状がでるのでしょう?
A3.花粉が鼻や目にはいると、体が花粉を外に出そうとするために、「くしゃみ」で吹き飛ばしたり、「鼻水」「涙」で花粉を洗い流そうとしているためです。
Q4.どういった症状がでるのでしょう?
A4.目のまわりがかゆくなり、まぶたがはれぼったくなり、結膜がはれます。重症になると結膜に浮腫が生じることがあります。
かゆいのでこすったり、掻いたりするとさらに悪化し、結膜や角膜を傷つけ、目がゴロゴロしたり、かすんだり、痛みが出ることがあります。場合によっては、鼻,のど,気管支,胃腸などさまざまな症状が現われ、全身がだるくなったり熱が出ることもあります。
Q5.花粉症の症状がでたらどの科の病院を受診すればいいですか?
A5.鼻の症状がある場合は耳鼻咽喉科、目の症状がひどい場合は眼科がいいと思われます。また、内科や小児科,アレルギー科などでも診療が受けられることがあります。
Q6.花粉症にはどんな治療法がありますか?
A6.花粉症の治療には、医療機関で行う薬物療法、手術治療、減感作療法があります。
治療の前提として、自らが花粉の暴露から身を守ることが肝心です。
花粉症の症状が出たら、悪化しないように対症療法をきちんと行います。
対症療法に用いる薬剤としては、抗アレルギー薬のヒスタミンH1拮抗薬とメディエーター遊離抑制薬、副腎皮質ステロイド薬などがあります。これらを医師の指示に従って点眼または内服します。
ヒスタミンH1拮抗薬はかゆみを引き起こすヒスタミンの作用を直接阻止するので、主にかゆみのある時に処方されます。
メ ディエーター遊離抑制薬はヒスタミンなどを増やさないようにする作用があり、効果が現れるまでに2週間くらいかかります。そのため、花粉が飛散する2週間 くらい前から点眼を開始し、飛散期間中の症状を軽減するという治療法によく使われています。(初期療法といわれています)
・副腎皮質ステロイド薬は、顕著に症状の改善効果を示しますが、長期間使っていると副作用を来すこともあるので、医師の指示に従って治療を受けてください。
薬を点眼または内服して症状がおさまったからといって花粉症が治ったわけではありません。根気強く治療を続けることにより、次第にアレルゲンに反応しにくくなり、症状が軽くなっていくことがありますので、医師の指示に従ってきちんと治療を受けることが大切です。
Q7.花粉症になりやすい人はいるのですか?
A7.花粉症以外のアレルギー疾患をもっている方や、家族の方が何らかのアレルギー疾患を持っている人は、それのない人に比べて、花粉症になりやすいと考えられています。
Q8.生活上の注意点はありますか?
A8.
①外出はなるべく避けましょう!
大 量の花粉に出会うと、体が花粉に対する抗体を産生する可能性が高くなります。スギに対する抗体をたくさん産生すると、何らかのきっかけでスギ花粉症を発症 しやすくなります。今は花粉症ではなくても、今後花粉症になる可能性もあります!これまで軽症で花粉症であることに気がつかなかった方も、花粉を鼻からた くさん吸い込んだり、目に入ったりすると、花粉症の症状が強くなります。花粉になるべく接しないことは重要なことです。
②マスク、眼鏡、帽子、マフラーを着用して花粉を遠ざけましょう!
マスクは、花粉の飛散の多いときには吸い込む花粉をおよそ3分の1から6分の1に減らし、鼻の症状を少なくさせる効果が期待されています。
ま た、花粉症でない方も、花粉を吸い込む量を少なくすることで、新たに花粉症になる可能性を低くすることが期待されていますが、風が強いと鼻の中に入る花粉 はマスクをしていても増え、効果は減弱するといった報告もありますので、マスクをしていても完全防備にはならないこともありまので、過大に信用は禁物で しょう。
メガネは花粉の飛散の多いときには、目に入る花粉を2分の1から3分の1まで減らすことができますが、眼の症状をどの程度弱くすることができるのかは明らかではありません
③花粉を家の中に入れないようにしましょう!
洋服に花粉がついてしまうので、花粉飛散している時の外出時には毛織物による上着やコートは避けたほうが良いでしょう。表面がすべすべした綿かポリエステルなどの化学繊維のものには花粉が付着しにくく、付着した花粉を吸い込む量を減らすことが期待されます。
④たばこやお酒、刺激性の強い香辛料やファストフードや加工食品の摂りすぎに注意し、バランスのとれた食生活に改善しましょう!
鼻の粘膜を正常に保ち 正常な免疫機能を保つためには、バランスのとれた食生活を摂り 睡眠を良くとることは重要です。また、皮膚を鍛えストレスをなくすよう心がけましょう